明星大学経済学部特任教授 GCDF‐Japanキャリア・カウンセラー、社会保険労務士
1988年早稲田大学政治経済学部卒業、同年株式会社リクルート入社。人材総合サービス事業部門、
ワークス研究所を経てキャリア・就職支援事業に携わり、沖縄県、岐阜県、千葉県のジョブカフェの運営を担当。2009年3月株式会社リクルートを退社しフリーのキャリア・カウンセラーとして大学のキャリア教育に携わる。2012年3月筑波大学人間総合科学研究科(博士前期課程)生涯発達専攻修了。同年4月より常葉大学非常勤講師。
2014年4月より現職。
クロちゃん、K’s labo設立4周年おめでとう!
ターゲットは異なるかもしれませんが、共に"キャリア"をテーマに活動していることで、クロちゃんからは気が付くと大変刺激をいただいています。そこで感謝の意を込めて、このタイミングでメッセージを送らせてください。
私は現在、東京の多摩地域にある大学と静岡県東部にある大学で、初年次(1年・2年生)対象のキャリア関連授業と、キャリア相談を担当しています。大学におけるキャリア関連科目は、この数年でかなり導入が進んでおり、私の勤務している両大学でも、民間企業での勤務経験が豊富な、いわゆる外部人材が担当する科目として、多くの学部で授業化されています。学生たちが社会に出た時のことをイメージながら、いま流行の基礎力を身に付けてもらうことを狙いとしてカリキュラムを組んでいるのが一般的です。しかし、これがなかなかうまくいかない。学生たちに、いくら真剣に話しても、1週間たつと忘れてしまう。いくらパワーポイントのスライドに絵や写真やデザインを工夫して作りこんでも、写真やデザインは印象に残っていても、肝心な伝えたいことはどうやら伝わっていない様子。授業終了後、今回の授業で学生の学びにどれだけ貢献できたのかを自問自答する毎日が続きました。まさに、七転八倒。しかし一所懸命リフレ―ミングして七転び八起きだと自分に言い聞かせ続けました。そんなある日、中国のひとつの諺に出会いました。
Tell me, I forget. Show me, I remember. Involve me, I understand.
(学生の立場では)聞いたことは忘れる。見たことは思い出せる。行動すれば理解できる。
それからは、とにかく学生たちが自ら聴き、伝え、行動を起こす場を作ることを授業づくりの核としています。格好よく言えばアクティブ・ラーニング。まだまだ途上ですが、ようやく焚き付けが功を奏し始め、火のついた学生たちも現れてきました。このような取り組みを続けていると、時折ある人物が脳裏に浮かびます。「あいつだったらどうするだろうか?」とふと考えたりします。その人物こそが、まさにクロちゃんです。
クロちゃんは、前職で同じ職場だった時から、私から見ると、ひとを"INVOLVE"することの天才でした。時には、やりすぎて周りが困惑することもありましたが。私も頑固なところがあるので、"INVOLVE"が強引に思えてくると、特に酒場では熱くなり、互いに怒鳴りあうのは日常茶飯事。時には激高して割り箸の類が飛び交うこともありました。同席していたメンバーは酔いが冷めた様子でしたが、さらに、我々二人がその後何事もなかったように一緒に勘定を払っているのを見て、呆れ返っていました。
周囲を見渡すと、現在"INVOLVE"できる人が少なくなってきているような気がします。以前はよく見かけた近所のお見合い紹介おばさんのような、"善意あるお節介"ができる大人が少なくなっています。そんなことを、相手のことを真剣に考えて、熱く本気で行うことのできるクロちゃんが、「中間地点にいる普通の方々」の"いま"を、直接的あるいは間接的に"INVOLVE"していくこれからの取り組みに、ますます期待しています。
今回、このような応援メッセージを書く機会をいただいて、あらためて私も「普通の学生たち」の"いま"を熱く"INVOLVE"し続けることの大切さを認識しました。約四半世紀にわたるこれまでの付き合いの中で築いてきた、クロちゃんとの刺激しあえる関係を、さらに発展させて互いに成長していきたい、と切に願っています。今後ともよろしく!
2016年1月1日
波田野 匡章