応援メッセージ

「キャリアの再活用」で中国事業を強化
卓 子旋

野村総研(上海)諮詢公司 顧問
研究分野/日本企業の中国事業戦略、著書/『中国ビジネス成功の秘訣』日本経済新聞社1994年、『海外人づくりハンドブック−中国』海外技術者研修協会1999年(編著)、『知識化するアジア経済と中国の躍進』野村総合研究所2002年(共著)、『中国で「勝ち組」になる100の秘訣』日本経済新聞社2005年6月、『発展する広東経済』野村総合研究所1995年(翻訳監修),研究論文/『中国事業強化に向けたM&A・資本提携の活用』『知的資産創造』野村総合研究所2004年12月

  中国事業の重要性が高まってきたにもかかわらず、上手く行っていない日本企業はまだ多い。その大きな要因の一つは、日本企業の中国事業における人材・のミスマッチだ。つまり、中国事業の人材不足がある一方、経験者が中国事業から去っていく現象だ。中国事業で、一人前のマネジャーになるためには、最低でも、4、5年以上の現地経験が必要だ。しかし、日本企業の多くは、人事ローテーション制度があり、3、4年未満で帰国せざるを得ないケースが多い。その結果、日本企業には中国現地事業に必要な人材の蓄積ができていない。現地企業では何時まで経っても、未経験者で占める。中国現法におけるこのような日本の人事構造は、さらに、日本人による現地人の育成にも大きな妨げになっている。経験がない、現地人との人間関係が構築できていないなかで、現地人の育成が遅れている結果をもたらしているからだ。
  また、本社における中国事業の経験等の蓄積・伝承の不足も大きな問題だ。ローテーション制度が原因のほかに、余剰人員対策として中高年層を第一線から外したり、本人のキャリアと無関係の関連会社へ出向させたりする慣行の影響も大きい。欧米や韓国など、中国事業の勝ち組企業に多く見られる一貫して中国事業に従事する部長・役員クラスの幹部は、日本企業には少ない。

  人事ローテーションの基本的枠組みを堅持するなら、経験者の中途採用、中高年キャリアの別枠での活用などの工夫は、中国事業の強化には必要だ。20年以上にわたる日本企業の中国進出で、多くの経験者や専門家が形成されている。彼の中で少なからぬ者は不本意にも、現在中国事業から離れてしまった。彼らのキャリアの再活用は、日本企業の中国事業強化につながる。
  中国でキャリアを積んできた者は、会社の都合で中国事業から外された場合、そのまま自分の才能を埋没し、捨てていくのか、それとも自分の経験を必要とする新天地で再活用するのか。まず、本人は、いままでの日本での雇用慣習の枠組みから飛び出した思考や意識の改革を持って、再検討すべき問題だ。また、このようなキャリヤの再活用の環境の整備も重要だ。中国事業の特殊への認識に基づく企業側の発想の転換、キャリア再活用を促進する外部仲介機関等のサービスの強化なども求められる。

  新しいキャリアの在り方の研究や実践のレベルアップをはかるために、独立の旗揚げをした黒川さんの新しい提案に期待したい。

2013年6月25日

卓 子旋

花田 光世  
(慶應大学名誉教授)

藤田 真也  (キャリアカウンセリング協会会長)

三品 和広  (神戸大学教授)

三井 正義  (カラフィス社長・ダイバーシティ研究会理事長)

俵 慎一  (日本食文化観光推進機構専務理事)

黒崎 幸良  (Anaxis社長)

柳川 範之  (東京大学教授)

紫垣 樹郎  (インサイトコミュニケーションズ社長)

波田野 匡章  
(明星大学教授)

やまざきゆにこ(グラフィックファシリテーター🄬・ユニファイナアレ代表)

服部 正太  (構造計画研究所代表執行役会長)

今野 浩一郎  
(学習院大学名誉教授)

高津 尚志  
(IMD北東アジア代表)

木島 英治  
(キーワークス社長)

澤田 辰雄  
(サードインパクト社長)

内田 恭彦  (山口大学教授)

坂尾 晃司  (ベリタス・コンサルティング社長)

岡本 祐子 (広島大学名誉教授・東広島心理臨床研究室代表)

伊原 智人  (グリーンアースインスティテュート社長)

村井 保之  (長崎県庁)

横山 重宏  (MURC部長 上席主任研究員)

木村 樹紀  
(リクルート人事部長)

岸守 明彦  
(トリムタブ社長)

浅沼 俊和  (莫逆の友)

卓 子旋  (NRI上海顧問)

新井 重成  
(トレーナビリティ社長)