学習院大学 名誉教授
1946年東京生まれ。71年東京工業大学理工学部経営工学科卒業。
73年同大学大学院理工学研究科(経営工学専攻)修士課程修了、同年、神奈川大学工学部助手。
80年東京学芸大学教育学部講師、82年同大学助教授。
<主な著書>『能力開発と自己啓発』(日本労働研究機構)、『研究開発マネジメント入門』
(日本経済新聞社)、『人事管理入門』(日本経済新聞社)、『勝ちぬく賃金改革』(日本経済新聞社)、
『資格の経済学』(共著、中公新書)、『個と組織の成果主義』(編著、中央経済社)など。
最近の若者は職業意識が希薄で、どう働くかをしっかり考えていない。だから、学校でも働くことについてしっかり教育しないといけない。多くの若者がニートやフリータになり、就職のできない若者が増えていることを憂いて善意から、でも上から目線でこうした主張を繰り返す人に会うたびに、団塊の世代である自分たちの昔を振り返ると、いつも違和感を持たざるを得ない。
日本社会は高度成長期以降、職人や自営業で働く人が急減し、総サラリーマン社会に急速に変貌してきた。そのなかで若者にかぎらず働く多くの人が、「何の仕事」でというより、「良好な所得を得ることができる」と信じて「いい会社」に入ることを大切にし、「何の仕事をしてどのようなキャリアを積むのか」は会社に多くを任せてきた。つまり、「何の仕事をしてどのようなキャリアを積むのか」を考えない働く人を大量生産してきたのが戦後の日本であったと思っている。そうでなければ、会社から見放された中高年がこれほど右往左往しなくても済んだはずである。
時代が変わったのである。
だから、普通の働く人も職業意識をもって、自分のキャリアを自分で考えなければならないことになったのである。
黒川さんのいう、強いリーダーのような人ではなく、「中間地点にいる普通の方々」の働き方やキャリアがどうあるべきなのかを大切に考えなければならない時代になったのだと思っている。
黒川さんの目指している事業の方向におおいに期待したい。
2013年6月25日
今野 浩一郎